昔の日本人は、一汁一菜の和食中心で、砂糖を日常的に使うことはあまりありませんでした。
ところが現代では、主食・間食・飲み物のすべてに糖が潜んでいます。
朝:パン+ジャム+コーヒー(砂糖入り)
昼:うどん・ラーメン・丼もの
夕:白ごはん+お惣菜(甘辛味)+デザート
間食:お菓子・ジュース・缶コーヒー
・これだけで、1日300〜400g以上の糖質を摂っていることも珍しくありません。
・ちなみに、体が必要とする糖質量の目安は「体重×2〜3g」程度。
・体重60kgの人なら120〜180gが適量です。
・つまり、ほとんどの人が“2倍以上”の糖を摂っていることになります。
「糖を控えよう」と思ったときにまず気をつけたいのが、「炭水化物」と「糖質」の違いです。
・炭水化物 = 糖質 + 食物繊維
糖質はエネルギー源として血糖値を上げる部分、
食物繊維は血糖の上昇をゆるやかにしてくれる部分です。
つまり「同じ炭水化物」でも、白米やパン(食物繊維が少ない)ほど血糖値が急上昇し、
雑穀米・玄米・野菜・豆類などはゆるやかに上がります。
👉食品ラベルでは、
・「炭水化物」しか書かれていない場合 → ほぼ糖質と同じと考えてOK
・「糖質」「食物繊維」と分けてある場合 → 糖質の数値をチェック
自分の食事を見直すときは、炭水化物の量=糖質量の目安になります。
糖質を多く摂ると、血糖値が急上昇します。
そのたびにすい臓がインスリンを分泌して、血糖を下げようとしますが、
繰り返すことで「インスリン抵抗性」が生まれ、脂肪が蓄積しやすくなります。
血糖値の乱高下は眠気や集中力の低下、イライラの原因にもなり、
さらに余分な糖がタンパク質と結びつくことで「糖化(AGEs)」が起きます。
これは体の“焦げ”のようなもので、
肌のハリや弾力を奪い、シミ・くすみ・たるみを進めてしまうのです。
① 血糖値の乱高下(血糖値スパイク)
糖質を多く摂ると血糖値が急上昇し、それを下げるためにインスリンが大量に分泌されます。
その結果、今度は血糖が急降下し、体は「エネルギー不足」と勘違いして強い空腹感や甘いものへの欲求が出ます。
この“ジェットコースターのような血糖変動”が、疲れ・眠気・集中力低下・イライラの原因に。
② 糖化(AGEs)による老化促進
余分な糖はタンパク質や脂質と結びついて「AGEs(終末糖化産物)」という老化物質を作ります。
AGEsは体の中で“焦げつき”のように蓄積し、
・肌:コラーゲンが硬くなり、しわ・たるみ・くすみ
・血管:動脈硬化が進み、血圧上昇
・臓器:腎臓・肝臓・脳にも炎症を起こす
といった影響をもたらします。
※「体が焦げる」と言われるのはこの現象です。
③ 認知症・脳機能への影響
脳はブドウ糖を主なエネルギー源としていますが、過剰な糖の摂取によってインスリン抵抗性が脳にも及ぶと、
ブドウ糖がうまく使えなくなり“脳のエネルギー不足”が起こります。
これは「脳の糖尿病(Type3 Diabetes)」と呼ばれ、
・記憶力低下
・判断力・集中力の鈍化
・認知症(特にアルツハイマー型)のリスク増加
につながることがわかっています。
また、血糖値の乱高下による酸化ストレスは、脳神経細胞を傷つけ、神経伝達にも悪影響を与えます。
④ 成人病(生活習慣病)の引き金
糖を摂りすぎると、余ったエネルギーが中性脂肪として肝臓や内臓に蓄積します。
この「内臓脂肪」が増えると、次のような悪循環が始まります。
・インスリン抵抗性(糖尿病の前段階)
・脂肪肝・高脂血症
・高血圧・動脈硬化
・心筋梗塞や脳梗塞リスク上昇
つまり、“糖の摂りすぎ”がそのまま“生活習慣病の入り口”なのです。
⑤ 腸内環境の悪化
甘いものや精製された炭水化物を摂りすぎると、腸内の「悪玉菌」が増えやすくなります。
特に、砂糖を好むクロストリジウム属菌・ウェルシュ菌などが増えると、
腸内の発酵バランスが乱れ、次のような症状が出やすくなります。
・お腹の張り・ガス・便秘や下痢
・免疫力の低下
・肌荒れ・吹き出物
・セロトニン(幸せホルモン)の減少による気分の落ち込み
逆に、糖の摂取を抑え、食物繊維や発酵食品(納豆・味噌・ヨーグルトなど)を増やすと、
腸内環境が整い、血糖コントロールや免疫にも良い影響を与えます。
最近では、自分の血糖の動きをリアルタイムで測定できる
「リブレ2(Freestyle Libre 2)」というセンサーが注目されています。
腕に貼るだけで、24時間の血糖値変化をスマホで確認でき、
「どんな食事で上がりやすいか」「どれくらいの運動で下がるか」が一目でわかります。
たとえば、同じ白ご飯でも、
・野菜→たんぱく質→ご飯の順で食べたとき
・甘い飲み物を一緒に摂ったとき
で血糖の上がり方がまったく違うのがわかります。
リブレで自分の傾向を知ることで、
「どんな食事で体が安定するか」を客観的に把握できるのです。
血糖コントロールはもはや感覚ではなく、“データで管理する時代”になっています。
糖化(AGEs)は肌のコラーゲンを硬くし、たるみ・シワ・くすみを引き起こします。
AGEsは一度できると分解されにくく、蓄積するほど老化が進みます。
つまり、「甘いものの摂りすぎ=肌の老化スピードを上げる」こと。
逆に、血糖を安定させると肌の透明感・ハリ・代謝が改善し、
アンチエイジング・ダイエット・メンタル安定にもつながります。
1️⃣ 食べる順番を変える
食物繊維(野菜・きのこ・海藻)→たんぱく質(肉・魚・豆)→炭水化物の順で。
2️⃣ 甘い飲み物を避ける
ゼロカロリー飲料も血糖を乱すことがあるため、炭酸水・緑茶・麦茶に置き換え。
3️⃣ 食後に2〜3分でも動く
家の中を少し歩くだけで血糖の上昇が抑えられます。
4️⃣ 良質なタンパク質とミネラルを摂る
糖代謝にはビタミンB群・マグネシウム・亜鉛が必要。
青魚・ナッツ・大豆・海藻・牡蠣などを意識的に。
5️⃣ 自分の血糖リズムを観察する
リブレ2を使えば、24時間の血糖の動きがわかり、
「自分に合う糖の量」や「上がりやすい食事パターン」が見えてきます。
糖質を完全に抜くのはNG。でも摂りすぎも体に負担。
ポイントは「自分に合った量を知ること」です。
🧮1日の糖質量の目安(厚生労働省・栄養学データより)
必要な糖質量は、
1日の総エネルギーのうち 50〜60%を糖質でまかなうのが標準。
ただし現代人は活動量が減っているため、目安を少し低めにするとバランスが良いです。
活動量 / 体重1kgあたりの糖質目安 / 体重60kgの人の場合の1日の炭水化物量の例
*低い(デスクワーク中心)/2g 約120g /ごはん2杯+果物少量+野菜
*普通(適度な運動あり) / 2.5〜3g 約150〜180g /ごはん2〜3杯+軽いおやつ
*高い(肉体労働・スポーツ)/ 3.5〜4g 約210〜240g / ごはん3〜4杯+間食で補う
🍽 目安:白ごはん150g(1膳)=約55gの糖質
食パン6枚切り1枚=約25g
うどん1玉=約55g
バナナ1本=約20g
つまり、デスクワーク中心の人なら
「ごはん2膳+野菜+少しの果物」くらいで1日分がちょうど良い計算です。
⚖️糖質の摂りすぎチェック
次のうち3つ以上当てはまる方は、糖質過多のサインかもしれません。
・食後すぐに眠くなる
・間食がやめられない
・朝スッキリ起きられない
・夕方にイライラ・頭がぼーっとする
・最近お腹周りが気になる
リブレ2などで血糖を測ってみると、
「食後の急上昇(血糖値スパイク)」が起きているケースが多いです。
糖をゼロにする必要はありません。
大切なのは「摂りすぎない工夫」と「血糖の安定」。
血糖が安定すれば、
✅疲れにくくなる
✅イライラが減る
✅睡眠の質が上がる
✅肌ツヤが良くなる
✅代謝が整う
つまり、“糖コントロール=若さと健康のコントロール”なのです。