ピロリ菌と膵がんの関係

2026年09月16日 15:01
カテゴリ: 癌

発症リスクが約3倍になる可能性

「ピロリ菌」と聞くと、
胃がんを思い浮かべる方が
多いのではないでしょうか。

ピロリ菌は胃に感染し、
慢性的な胃炎を引き起こすことで、
胃がんのリスクを
高めることが知られています。

ところが最近では、
ピロリ菌が胃だけでなく、
胃から離れた臓器のがんにも
関係している可能性が研究されています。

その中でも注目されているのが
「膵がん(すいがん)」です。

ピロリ菌が膵がんと関係している?

日本で行われた研究では、
膵がんと診断された417人、
胆道がんと診断された116人、
そしてがんではない約3,000人を対象に、
ピロリ菌感染との関係が調べられました。

年齢や性別、喫煙、飲酒、遺伝的な要因など、
ほかの要因の影響も考慮して分析したところ、

ピロリ菌感染の指標が高い人ほど、
膵がんの発症リスクが高くなる傾向

特に、膵臓の中でも十二指腸に
近い部分にできる膵がんでは、
ピロリ菌感染が強く疑われる人の
発症リスクが、感染していない人と
比べて約3倍になっていました。

また、膵臓の中央部分のがんでも、
ピロリ菌感染との関連が見られました。

なぜ胃のピロリ菌が膵がんに関係するの?

ここは、まだはっきりと解明されているわけではありません。

現在考えられている仮説の一つは、
ピロリ菌によって胃に慢性的な
炎症が起こることで、胃酸の分泌が減少し、
消化管内の細菌環境が変化するというものです。

その結果、
通常とは異なる細菌が増え、
それらが十二指腸などを
経由して膵臓周辺に影響を与え、
炎症を引き起こす可能性が考えられています。

以前は「膵臓にはほとんど細菌が存在しない」
と考えられていましたが、
近年の研究では、
膵臓にも少量の細菌が存在することが
確認されています。

こうした細菌の変化が
膵がんの発生に関係している
可能性について、現在も研究が進められています。

ピロリ菌を除菌すれば膵がんを予防できる?

ここが気になるところですが、
現時点では
「ピロリ菌を除菌すれば膵がんを予防できる」
とまでは言えません。

今回の研究は、
膵がんになった人と、
ならなかった人を比較して
「ピロリ菌感染と膵がんに関連があるか」
を調べたものです。

そのため、

「ピロリ菌に感染する」
↓
「膵がんになる」

という直接的な因果関係まで
証明した研究ではありません。

ただし、
これまでにもピロリ菌感染と
膵がんのリスク上昇との関連を
示した研究があり、
今回の結果もその一つとして
注目されています。

さらに、海外の研究では、
ピロリ菌を除菌した人について、
除菌後6~10年ほど経過すると、
膵がんの発症リスクが
一般人口と同程度まで
低下したという報告もあります。

ピロリ菌は早めに調べておく価値がある

今回の研究から分かるのは、
ピロリ菌が胃がんだけでなく、
膵がんなど他の病気にも
関係している可能性があるということです。

ただし、
「ピロリ菌に感染している=膵がんになる」
という意味ではありません。

膵がんには、喫煙、飲酒、糖尿病、慢性膵炎、
家族歴など、さまざまなリスク要因があります。

そのため、
今回の「約3倍」という数字だけを
見て過度に心配する必要はありません。

一方で、
ピロリ菌は胃がんとの関連が確立しており、
感染が分かった場合には、
医療機関で相談して除菌を
検討することが重要です。

ピロリ菌について正しく知り、
必要であれば検査や
除菌について医師に相談する。

それが、胃の健康を守るだけでなく、
将来的には膵がんなどの
病気の予防にもつながる可能性があります。

今後さらに研究が進み、
ピロリ菌の除菌によって
膵がんのリスクまで下げられるのか、
明らかになることが期待されています。

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