都市部の子どもは、農村部の子どもに比べて腸内細菌の多様性が低く、アレルギーを起こしやすい免疫細胞(炎症性TH2細胞)が多い。
農村部では免疫を抑えるTレグが多く、アレルギーが少ない。これは幼少期の環境中の微生物への接触の違いが影響しているとされる。
さらに、人が使用した抗生物質が大量に河川へ流出しており、環境全体に抗生物質汚染が広がっている。これは腸内細菌の乱れや耐性菌の増加を招き、人間の健康に悪影響を及ぼす。
◎アレルギーを減らすための実践ポイント
・加工されていない食品・オーガニック食品を選ぶ
・土に触れたり屋外遊びを増やす
・不必要な抗生物質を避ける
・多様な腸内細菌を育てる生活環境を整える
① 都市部の子どもにアレルギーが多い理由
2025年のアレルギー誌に報告された研究では、
・都市部の乳児:炎症性TH2リンパ球が多い(アレルギーを起こしやすい)
・農村部の乳児:制御性T細胞(Tレグ)が多く、免疫バランスが安定
この差は
→ 幼少期の腸内細菌の発達の違い
→ 環境に存在する微生物との接触量の差
が要因と考えられる。
いわゆる「牧場(ファーム)効果」として以前から知られており、農村の多様な微生物への暴露が免疫バランスを整える。
② 抗生物質による環境汚染と健康影響
2025年 PNAS Nexus に掲載された研究より:
・世界258か所の河川を調査
・人が摂取した抗生物質の約1/3、年間8500トンが河川に流出
・下水処理では十分に除去できず、世界中の河川に抗生物質が残留
・特に「アモキシシリン」が高濃度で検出
・抗生物質汚染は
・腸内細菌の乱れ
・耐性菌の増加(抗生物質が効かない菌)
・生態系への悪影響
を招く
私たちが直接薬を飲まなくても、環境を通じて抗生物質に暴露している可能性がある。
③ 環境と健康の結びつき
都市部の清潔すぎる環境や、地球規模での抗生物質汚染は
・腸内細菌の多様性低下
・免疫バランスの乱れ
・アレルギー増加
につながる。
④ アレルギーの予防に大事なこと
・微生物の多様性に触れる生活をする
・土遊び、屋外での遊び
・自然環境で過ごす時間を増やす
・加工度の少ない食品を選ぶ
・オーガニック野菜・果物
・食品に付着した自然の微生物を取り入れる
・不要な抗生物質を避ける
・腸内細菌の多様性を育てるライフスタイルを意識する