これまで老化は避けられない自然現象と考えられてきました。
しかし近年、医学の分野では
「老化は治療できる生物学的プロセス」
という考え方が広がっています。
現在は、老化そのものをターゲットにした治療が人を対象にした臨床試験の段階に入っています。
ここでは、老化に対する4つの最先端アプローチを紹介します。
① 細胞を若い状態に戻す
エピジェネティック・リプログラミング
これは細胞の設計図の読み取り方を若い状態に戻す技術です。
DNAそのものを変えるのではなく遺伝子の働きを調整して
細胞を若返らせる
ことを目指します。
例:ER100治療
この治療では
1.無害化したウイルスを使う
2.山中因子(OSK遺伝子)を細胞へ届ける
3.薬(ドキシサイクリン)でスイッチをON
すると
老化した細胞が若い状態へ巻き戻る
可能性があります。
現在は
・視神経や網膜の老化
・視力低下
などに対する臨床試験が進められています。
② 老化細胞(ゾンビ細胞)を除去する
セノリティクス
体内には
老化細胞(ゾンビ細胞)
と呼ばれる細胞が存在します。
特徴は
・分裂しない
・死なない
・炎症物質を出す
その結果
・老化の加速
・慢性炎症
・組織の機能低下
を引き起こします。
新薬:RLS1496
この薬は
老化細胞だけを狙って破壊する薬
として開発されています。
現在研究されている対象
・皮膚老化(しわ・しみ)
・アトピー性皮膚炎
・加齢による炎症
などです。
③ テロメアを伸ばす
細胞寿命を延ばす研究
テロメアとは
染色体の先端にある保護キャップです。
細胞分裂のたびに
テロメアは短くなる → 老化
します。
しかしある研究では
薬を26週間服用した結果
90%以上の人でテロメアが伸びた
という報告があります。
これは
老化時計を逆転できる可能性
を示す重要な発見です。
④ 筋肉の老化を防ぐ
近年人気の
GLP-1ダイエット薬
には
・体脂肪が減る
・しかし筋肉も減る
という問題があります。
そこで研究者は
15-PGDH阻害薬
という物質を組み合わせました。
その結果
・脂肪は減る
・筋肉は維持
という効果が確認されています。
この酵素は
老化酵素(gerozyme)
とも呼ばれています。
まとめ
老化に挑む4つの最先端技術
現在研究されている主なアプローチ
① 細胞の若返り
(エピジェネティックリプログラミング)
② 老化細胞の除去
(セノリティクス)
③ テロメア延長
(細胞寿命の延長)
④ 筋肉老化の抑制
(15-PGDH阻害)
これらはすべて
老化の根本原因に直接アプローチする医療
です。
今後の可能性
これらの研究が進めば
将来は
・老化の進行を遅らせる
・老化による病気を防ぐ
・機能を若い状態へ戻す
といった
「老化を治療する医学」
が実現する可能性があります。
ただし現在は
多くが研究段階または初期臨床試験であり、
実用化にはまだ時間が必要です。
YouTube
眼科医 高橋の「視力革命ラボ」より引用