自己免疫疾患とテストステロン、そして運動の重要性

2025年12月27日 11:59
カテゴリ: 免疫・感染症

① 自己免疫疾患とは何か

自己免疫疾患とは、本来は体を守るはずの免疫が、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまうことで起こる病気である。
代表例として、関節リウマチ、橋本病、全身性エリテマトーデス(SLE)などがある。

これらの自己免疫疾患は 約8割が女性に多い ことが知られており、その理由の一つとして 性ホルモンの違い が注目されている。

② テストステロンと免疫の関係

男性ホルモンである テストステロン には、免疫の働きを「落ち着かせる(暴走を抑える)」作用があると考えられている。
テストステロンは男性に多く分泌されるが、女性にも少量ながら存在しており、このホルモンの量が自己免疫疾患の発症に関与している可能性がある。

③ マウス研究から分かったこと

1型糖尿病(自己免疫疾患)を自然発症するマウスの研究では、

オス(テストステロンが高い)はメスより発症しにくい

無菌環境で育てると、オスでもテストステロンが低下し、糖尿病になりやすくなる

オスの腸内細菌をメスに移植すると、

・メスのテストステロンが上昇

・炎症が抑えられ

・糖尿病の発症が抑制された

さらに、テストステロンの受容体をブロックすると、この保護効果は消失した。

➡ テストステロンが自己免疫疾患を防ぐ鍵である可能性 が示された。

④ 人のデータからの裏付け

・テストステロンが極端に低い男性(男性性腺機能低下症)では
 約61%に自己免疫疾患 が見つかった

・一般男性の自己免疫疾患頻度は約1%であり、非常に高い割合

・テストステロンが低い クラインフェルター症候群(XXY) の男性では、SLEが多いことも知られている

⑤ テストステロンが免疫に及ぼす仕組み

テストステロンは、

・免疫のブレーキ役である 制御性T細胞 を増やす

・炎症を起こすT細胞や炎症性サイトカイン(TNF、IL-6など)を減らす

・抗炎症性サイトカイン(TGF-β)を増やす

実際、男性の多発性硬化症患者にテストステロンを投与した小規模試験では、

・炎症性免疫反応の低下

・免疫バランスの改善
 が確認されている。

⑥ 運動によってテストステロンは増える

テストステロンを増やす方法として 運動 が有効である。

・女性:運動後にテストステロンが一時的に大きく上昇

 ・20〜40歳女性の16週間運動介入で明確な上昇が確認

・男性:

 ・無酸素運動やインターバルトレーニングが有効

 ・60代男性でも6週間の運動で 約17%増加

➡ 年齢・性別を問わず、運動でテストステロンは増やせる

⑦ 運動そのものの免疫調整効果

運動にはテストステロン以外にも、

・免疫の過剰反応を抑える

・炎症を起こしにくい免疫バランスに変える

・運動時に分泌されるIL-6は、実は抗炎症作用を持つ

といった効果がある。

SLE、関節リウマチ、多発性硬化症などの患者でも、適度な運動は安全で、病状に良い影響を与える という報告が増えている。

⑧ まとめ

・自己免疫疾患は女性に多い

・テストステロンは免疫の暴走を抑える可能性が高い

・運動はテストステロンを増やし、免疫を整える

・「運動で自己免疫疾患を予防・抑制できる」という仮説は研究途上だが、
 運動習慣を持つことにデメリットはない

結論

無理のない範囲で日常生活に運動を取り入れ、
体も免疫も健やかな状態を目指すことが大切。

今日から「体を動かすこと」を意識してみよう。

記事一覧を見る