多くの中高年が毎日使っているうがい薬の中でも、
慢性的な喉・鼻の不調と関係しやすいのはポビドンヨード系うがい薬である。
アズレンなどの抗炎症・粘膜保護系うがい薬とは性質が異なり、
ポビドンヨードは非常に強い殺菌作用を持つ。
① ポビドンヨードが引き起こしやすい悪循環
ポビドンヨードはウイルスや細菌を短時間で殺菌できる一方で、
・善玉菌・悪玉菌を区別せず除去
・口腔・咽頭の常在菌バランスを崩す
・粘膜を乾燥・刺激しやすくする
その結果、
一時的にスッキリ → 数時間~数日後に再び不調 → さらに使う
という悪循環に陥りやすい。
特に50代以降では免疫力と粘膜の回復力が低下しやすく、
症状が慢性化しやすいという落とし穴がある。
② 「真面目なケア」が逆効果になる理由
毎日欠かさずポビドンヨードでうがいをしている人ほど、
・喉の違和感
・痰が絡む
・鼻詰まり
・口臭
が長引くことがある。
これは
守ってくれる菌まで洗い流し、粘膜の自然なバリアを壊している
状態に近い。
例えるなら、
「雑草を抜くために土を何度も耕し、かえって雑草が増える」ようなもの。
③ アズレンとの決定的な違い
・ポビドンヨード
→ 殺菌目的、短期使用向け
・アズレン
→ 抗炎症・粘膜修復、長期使用可
アズレンは常在菌を大量に殺さず、
医療現場でも慢性咽頭炎や口内炎に長く使われる。
したがって、
「うがい薬が悪い」のではなく
「ポビドンヨードの長期・習慣使用」が問題である。
④ 環境を立て直す選択肢:塩水うがい
慢性的な不調には、
殺菌で抑え込むより環境を整えるケアが重要。
塩水うがいには
1.浸透圧作用
→ 細菌の増殖を穏やかに抑制
2.消炎・むくみ軽減作用
→ 粘膜の腫れ・違和感を和らげる
3.常在菌バランスを保つ
→ 善玉菌を残しやすい
という特徴があり、
粘膜本来の回復力を引き出す。
⑤ 正しい塩水うがいの基本
・水150ml
・塩 小さじ1/4
・ぬるま湯
・1日3回(朝・食後30分・就寝前)
刺激が少なく、
ポビドンヨードを毎日使っていた人ほど効果を実感しやすい。
⑥ まとめ
・急性期・感染が疑われる時
→ ポビドンヨードを短期間
・慢性的な喉・鼻の不調
→ アズレン or 塩水
・毎日の習慣
→ 刺激の少ない方法
喉や鼻の健康は
「強く殺す」より「静かに整える」ことで守られる。