1. グルテンフリーが注目された背景
・テニス選手ジョコビッチが、グルテンを避けることで体調が改善し、グランドスラム制覇につながったと話したことでブームに。
・ただし「誰にでも必ず良い」わけではなく、適応がある。
2. グルテンに関連する3つの問題
(1) セリアック病(自己免疫疾患)
・遺伝的要因が必要。
・小腸粘膜でグルテンが炎症を起こし、栄養吸収障害・下痢・膨満感・貧血などが発生。
・診断は内視鏡+抗体検査(トランスグルタミナーゼ抗体)。
・罹患率は約1%で多くはない。
(2) 小麦アレルギー
・グルテンに対するアレルギー。
・発疹やアナフィラキシーなど即時型反応を起こす。
(3) 非セリアック性グルテン過敏症(NCGS)
・アレルギーでも自己免疫でもないが、小麦を食べると「体調が悪くなる」と自覚するケース。
・診断基準が曖昧で、自称の人が多い。
3. 小麦の構造と栄養
・小麦は外皮(食物繊維・ミネラル)、胚芽(ビタミン・ミネラル・脂質)、胚乳(デンプンとタンパク質)から成る。
・全粒粉にすると 完全栄養食品に近い。
4. グルテンの正体
・小麦タンパク質のうち グリアジン(粘り)と グルテニン(弾力)が絡み合ったものがグルテン。
・水・塩・こねる(酸化させる)・ビタミンC添加でグルテンの強度が増す。
・逆に、糖や油、サワードゥ(乳酸菌+酵母)はグルテンの粘りを弱め、パンをふわふわにする。
5. 小麦粉の種類と使い分け
・デュラム小麦(パスタ):グルテン多い。
・強力粉(パン・うどん):グルテンが適度。
・薄力粉(お菓子・天ぷら):グルテンが少なくサクサクに。
6. 日本の伝統食品「お麩」はグルテンそのもの
・小麦粉を練り、水にさらしてデンプンを落とした残り=グルテン。
・たんぱく質約30%、亜鉛・鉄・ビタミンB/Eなど栄養豊富。
・平安時代からの伝統食。精進料理やベジタリアンの重要なたんぱく源。
7. グルテンフリーの注意点
・小麦を避けると、全粒粉が持つビタミン・ミネラル・食物繊維などが不足する可能性。
・グルテンフリー製品は高価格。
・体質的に問題がない人が無闇にグルテンを避ける必要はない。
8. 結論
・小麦は外皮ごと食べれば栄養豊富な食材。
・先述の疾患がある人は除去が必要だが、そうでない人は過度に恐れる必要はない。
・小麦の良さを見直し、正しく理解して食生活に取り入れることが大切。