■ 背景と最新研究
・かつては「脳の神経細胞は幼少期にすべて作られ、大人になってからは増えない」と考えられていた。
・1998年、大人でも神経細胞が新生されるという研究結果が発表され、注目を集めた。
・最新の研究では、0歳〜78歳の人の脳を調査したところ、大人の脳内にも神経細胞の元(幹細胞)が存在し、分裂していることが確認された。
・記憶や学習を司る海馬の「歯状回」に神経新生が見られた。
■ 過去の論争
・2010年頃には「大人の脳では神経新生は起こらない」との報告もあった。
・しかしその後、「高齢者の脳でも神経新生が確認された」とする研究も出ており、意見が割れていた。
・今回の研究により、神経幹細胞が成人後も存在することが確定し、大人でも神経細胞が増える可能性が示された。
■ 神経細胞を増やすには?
◎ ポイント1:新しいことへの挑戦
・未知のスキルや趣味にチャレンジすることで脳に良い刺激を与える。
・例:写真編集、キルト作り、新しい言語や楽器の習得など。
・テキサス大学の研究で、新しい課題に取り組んだ高齢者は、記憶力が大幅に向上したという結果も。
◎ ポイント2:バランスの良い「脳トレ」
・クロスワードや計算だけでなく、複雑なマルチタスク型のゲームが効果的。
・カリフォルニア大学の研究では、60〜85歳の高齢者がテレビゲームでトレーニングしたところ、20代と同等レベルのマルチタスク能力を獲得。
・効果は一時的でなく、6ヶ月後も持続した。
・前頭前野の活性化により、脳全体の機能が向上。
■ 結論:脳は年齢に関係なく鍛えられる
・大人でも神経細胞は増える可能性があり、脳は可塑性(変化・再生能力)を持っている。
・脳の老化を防ぐには、意識的に知的な挑戦や学習を続けることが大切。
・認知症予防やメンタルヘルスの維持にもつながるため、日常的に「知的活動」を取り入れる習慣をつけることが推奨される。