腰痛は日本人の3〜4人に1人が経験しており、特に女性に多く「国民病」とも言われます。しかし、なかには放置すると危険な腰痛も存在します。ここでは特に注意が必要な4つの腰痛とその特徴を紹介します。
【1】尿管結石による腰痛
・特徴:突然の激しい背中や腰の痛み
・原因:腎臓から膀胱へつながる尿管に石が詰まり、けいれんを起こして強い痛みを生じる
・注意点:自然排出する場合もあるが、放置すると感染や腎機能低下の恐れあり
・対応:早めに受診し、必要に応じて衝撃波治療などの医療介入を受ける
【2】大動脈解離による腰痛
・特徴:突発的な背中の激痛。場合によっては違和感程度のこともある
・原因:心臓から出る大動脈が裂けることで、血流が乱れ命に関わる事態に
・注意点:即時対応が必要。放置すれば突然死のリスクも
・対応:救急受診を。CT検査や外科的治療が必要なケースもある
【3】膵臓がん(または膵炎)による腰痛
・特徴:左後ろに慢性的な背中の痛み。膵炎では急性の背中の痛みも
・原因:膵臓は背中寄りにあるため、腫瘍や炎症があると背中に痛みを感じやすい
・注意点:整形外科では見逃されることもあるため、内科的な評価も必要
・対応:慢性的で原因不明の背中の痛みが続く場合は総合診療科や内科受診を
【4】がんの骨転移による腰痛
・特徴:体を動かしたときに強くなる腰や背中の痛み(動作時痛)
・原因:乳がん、前立腺がんなどが骨に転移することで骨に病変を起こす
・注意点:X線で写らないこともあり、MRIなど精密検査が必要
・対応:慢性的な痛みがある場合は、がんの可能性も念頭に置き専門科へ
❖ 腰痛は痛みの種類・背景で見極める
・多くの腰痛は命に関わらないが、突発的な強い痛みや原因不明で慢性的な痛みは注意。
・単なる筋肉・骨格の異常だけでなく、神経や痛みの感じ方の変化(痛覚過敏)も原因になる。
・適切な診断・専門医の判断が重要。整形外科だけでなく、内科や総合診療科、ペインクリニックも選択肢に。
❖ まとめ
腰痛は身近な症状ですが、中には放置すると命に関わる重大な病気が隠れていることもあります。特に以下のような症状がある場合は、すぐに専門医に相談しましょう。
・突然の激しい背中の痛み
・慢性で原因不明の腰痛
・動作時に強くなる痛み
・腰を痛めるきっかけがない痛み