膝の痛みや変形性膝関節症と診断され、手術を勧められる人も多いが、歩き方の工夫だけで痛みが大きく改善する可能性があるという臨床研究が報告されている。
✅ 研究内容(アメリカで実施)
・対象:変形性膝関節症の患者68人
・方法:
・足の向きを5〜10°変える(特に内側に負荷がかからない角度)
・その角度を維持した歩行を指導・練習(1日20分以上)
・6回のトレーニング+リアルタイムフィードバックあり
✅ 結果(1年後)
・痛みが大幅に軽減
・痛み止めの使用が大幅に減少、不要になった人も
・関節への負荷や軟骨の悪化の進行も抑制
・多くの参加者が1年後も正しい歩き方を継続
✅ なぜ歩き方が重要?
・痛みの多くは骨ではなく、関節周囲の筋肉や靭帯、関節包に由来する
・可動域制限(動かしにくさ)は筋肉や靭帯の硬さが原因のことも多い
・痛み→動かさない→さらに硬くなる→痛み悪化の悪循環
✅ 他の治療法の限界
・ヒアルロン酸注射の効果は限定的(プラセボと大差なしという報告も)
・骨の隙間の狭さだけでは痛みの原因は特定できない
✅ 今後の展望
・歩行指導は現時点では専門機関でしかできないが、今後はスマートデバイスで自宅でも計測・練習できるようになる見込み
📝 結論
膝の痛みがある中高年の方は、まず歩き方や姿勢を見直すことが非常に有効。手術や注射に頼る前に、自分でできる「歩行訓練(ゲートリトレーニング)」を試す価値がある。
🔹1. 膝痛の放置は危険
・膝の痛みは放置すると悪化し、変形性膝関節症に進行する可能性が高い。
・初期は画像に異常が出にくいため、原因の見逃しが多い。
・画像に異常がないと「湿布で様子見」など、対症療法のみで済まされてしまう。
🔹2. 現在の医療の問題点
・整形外科はレントゲン画像中心の診断に依存している。
・原因不明でも、病名がつけば「ヒアルロン酸注射」や「痛み止め」を打ち続ける傾向がある。
・実際の痛みの原因は膝関節ではなく筋肉や神経由来のこともある。
・筋肉の炎症や神経の圧迫による膝の痛みも、誤って関節の治療が行われがち。
🔹3. ヒアルロン酸注射の限界
・多くの人が「効いていない」と感じているが、「やってもらった安心感」で満足してしまう。
・プラセボ効果も一因。
・本来の痛みの原因に対してアプローチしていないケースが多い。
🔹4. 変形性膝関節症の主な原因
・骨と骨の衝突(荷重のかかり方)が原因で起きる。
・最初のきっかけはお皿(膝蓋骨)の滑りの悪さにある。
・お皿の動きを制御する筋肉(大腿四頭筋)が正しく機能していないと、膝関節に衝撃が直接かかり、変形につながる。
🔹5. 女性の出産後に多い理由
・出産前後の生活習慣でお皿の動きが悪くなりやすい。
・出産後の座りっぱなしの生活などが大腿四頭筋の機能低下を招く。
・結果、正しい歩行動作ができずに関節に負担がかかる。
🔹6. 痛みのタイプとその見分け方
痛みの部位 : 原因の可能性
膝の裏 : 半月板損傷(クッションの役割)
膝の内側 : 鵞足炎(筋肉の付着部の炎症)
膝の下 : 神経の圧迫や筋肉の硬さ
膝の外側 : 関節外の筋肉の問題
・股関節の問題を膝の痛みとして感じていることもある(高齢者や子どもに多い)。
🔹7. 初期チェックの重要性
・お皿の圧痛や違和感があるかを自分でチェックできる。
・水が溜まっているか(関節液)は、お皿を軽く叩いて浮いていないかで確認できる。
・痛みがなくても、水が溜まっていれば関節に負担がかかっているサイン。
🔹8. 予防の必要性と制度の課題
・日本では「病気にならないと保険が使えない」ため、予防医療が進みにくい。
・本来は、初期の段階で対策すべきだが、保険制度の都合で「悪くなってから対応」という形になっている。
・自分で知識をつけて、早期に対処することが極めて重要。
🔹9. 改善のカギは“滑走性”
・膝関節の「滑走性」(お皿と骨のスムーズな動き)を改善することで、関節の負担を軽減できる。
・歩行時に正しく膝をパックする(筋肉で守る)動作を身につけることで、膝痛の予防・改善が可能。
✅結論:膝痛は「早期発見」「正確な原因把握」「適切な対処」がすべて
・ヒアルロン酸注射や痛み止めに頼りすぎると根本解決にはならず、関節の変形を進めてしまう。
・「膝の痛み=関節の問題」とは限らない。
・筋肉、神経、股関節など、多様な原因の可能性を見抜ける知識が必要。
・自分の体を守るには、「医療に頼りきる」のではなく、自分でチェックし、早期に対策する姿勢が大切。
特に多い原因は、ファシアの異常!
◯関節とファシア(筋膜)の役割
私たちの関節は「膜=ファシア(筋膜)」で包まれています。
このファシアには、体の状態を感じ取る 3つのセンサー があり、私たちの動きや姿勢、痛みに深く関わっています。
ただし、このセンサーがうまく働かなくなると、実際には大きなケガがなくても「痛い」と感じてしまうことがよくあります。
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ファシアにある3つのセンサー
1. 動きを感じるセンサー
• 関節の曲げ伸ばしや筋肉の動きをキャッチします。
• 正しい姿勢を保つのに役立ちます。
2. 痛みを感じるセンサー
• ファシアが硬くなったり炎症を起こすと反応して「痛い」と知らせます。
• 腰痛や肩こりの原因になることもあります。
3. 体の位置を感じるセンサー
• 「自分の手足がどこにあるか」を無意識に感じ取ります。
• バランスを保つために大切な役割を果たします。
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👉 つまり、ファシアは単なる膜ではなく、体のセンサーが集まった大切な場所。
ここが乱れると、痛みや不調につながることがあるのです。